デートにおいて男の最終的な目的はセックスをすることですが、女性にデート中にお金を意識させてしまうとセックスしづらくなるという話です。
これは行動経済学の実験で分かっていることから導かれる結論です。
簡単に言うと、お金と(売春以外の)セックスは意識の中で別枠になっているため、お金を意識させると意識がセックスから離れてしまうということです。
これだけでは何のことだかわからないはずですので順に見ていきます。
社会規範と市場規範
ダン・アリエリー著の「予想どおりに不合理」によれば、人間は2つの世界を同時に生きていると言います。
その二つとは、社会規範と市場規範です。
社会規範とは、友人に荷物を運ぶのを手伝ってもらったり、道を聞かれて教えてあげると言った、対価を求めないほのぼのとした意識のことです。
一方で市場規範は金利、賃金、賃料、期日といったギスギスしたもので、自分が支払うもの対して等価のものを要求する意識のことです。
どちらが良いという話ではなく、人間はそれぞれを使い分けながら生きており、仕事や契約では市場規範を、友人や家族や恋人とは社会規範が中心となります。
この二つをきちんと隔てていれば問題は起こらないのですが、社会規範の世界に市場規範を衝突させると(あるいは逆をすると)問題が発生します。
市場規範というのは簡単に言ってしまえばお金が絡むこと全て、むしろお金を意識しただけで脳は市場規範のスイッチを入れてしまいます。
アリエリーの実験では以下のような結果が出ました。
- 社会規範条件:簡単な作業の対価として50セント相当のお菓子を金額を伝えずに渡した場合には実験協力者は高いスコアを記録しました。
- 市場規範条件:簡単な作業の対価として50セント相当のお菓子を金額を伝えて渡した場合には実験協力者のスコアは低いものとなりました。
つまりお金を意識していない状態であれば、対価としてお菓子をもらってもやる気が出るのに、お菓子の金額を聞いてお金を意識したとたんにやる気が失われています。
たったそれだけのことで市場規範のスイッチが入るのです。
ここまでの話を前提に、お金とセックスの関係を理解していきます。
お金は市場規範、セックスは社会規範
まずデートやセックスに関しては社会規範の最もたるものです。これは重要な点です。
そして市場規範と社会規範がぶつかると問題が起こると言いましたが、社会規範たるセックスに市場規範スイッチを入れてしまうお金の話をぶつけてしまうと問題が起こります。
この場合の問題は、市場規範の世界にもセックスはあるのですが、それは「売春」でありセックスワーカーなのです。
つまりデートで市場規範スイッチを入れてしまうと、セックスすることに市場規範が乗ってしまい意識の上で売春と結びつけられてしまうのです。
どんなヤリマンであっても女性は「軽い女」と見られることを嫌いますが、売春婦と同等にされることはそれ以上に嫌います。
それは男がそう思ってなくても、本人が自分に対してそう思ってしまうだけでもダメなのです。
つまりデート中に女性に「夜ご飯を5000円おごってもらった対価にセックスする」「ディズニーランドの入場料8000円の対価に~」と意識させてしまうと、売春をしているような気分になってしまうので、セックスに持ち込むことができなくなってしまうというわけです。
デート中のタブー
以上の話を踏まえて、デート中にやってはいけないこと・やらないほうがいいことの例を以下に挙げます。
- 食事中にメニューの値段を読み上げる
- 割り勘にする(財布からお金を取り出させる)
- レシートを見せる
- おごる場合でも会計を目の前で現金で行う
- プレゼントを渡すときに値段を言う
他にもあると思いますが、これらのように金銭を意識させる行為、特に現金を介したり文字で金額が表示されているものに関しては気を付けるようにしましょう。
例外
ちなみに例外としては、風俗嬢であったり過去に売春をしたことがあったりで自分のセックスの価値をお金で換算することができる女性に関しては、その価値以上の金額をおごってあげたりしたことを示せばセックスできる確率が高まります。
というのもそういう女性は、社会規範と市場規範両方の意識にセックスを持っており、市場規範側に意識が行った場合には、自分が考えるセックスの価値以上の対価がもらえれば問題ないと思えるからです。
参考書籍
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
今回の話はダン・アリエリーの著書「予想どおりに不合理」の第4章の内容をナンパやデートに当てはめたものです。
というか本書の中でも思いっきりセックスの話が出ています。
それ以外の章もナンパに使えるかどうかはともかく普通に面白いのでオススメの本です。